近年、テレビ、新聞、雑誌などで盛んに取り上げられている「M&A」ですが、その歴史はかなり古く、戦前にまでさかのぼります。
 ただ、「M&A」(合併・買収)といった言葉が先行してしまい、その本質的なことについては、意外に理解されていないように思われます。
そこで、ここでは、そもそも「M&A」とは何か
いったことを、M&Aの手法という技術的なことは切り離して、基本的、本質的な「M&A」の定義、目的、社会的な意義と役割などについて説明していきたいと思います。

そもそも「M&A」って何?

 

近年、テレビ、新聞、雑誌などで盛んに取り上げられている「M&A」ですが、その歴史はかなり古く、戦前にまでさかのぼります。
わかっているようで、思っているほど理解されていない「M&A」。ここで改めて定義、目的、社会的な意義と役割を見ていきましょう。

「M&A」の定義

  

「M&A」は正式には、「Mergers&Acquisitions」といい、日本語では「合併・買収」などと訳されます。
 そして、これを一般的に定義すると、次のようになります。
 「M&A」とは、ある会社が、ほかの会社の支配権を握り、吸収したり自社の傘下に収めたりすることです。
 補足すると、「Mergers(合併)」の場合は、合併会社が存続会社として残り、買収されたほうの会社は消滅するものです。「Acquisitions(買収)」は、買収会社が買収される会社の株式の過半数を取得して、その支配権が移るものです。原則、買収された会社は存続します。
また、「M&A」に際して交付される対価は現金であったり、合併・買収する会社の株式であったりします。

「M&A」の目的

  

本体の「M&A」の目的としては、業界の再編、事業の再編、新規事業の展開などのため、または、経営不振企業の救済などを目的として行ってきました。かつての鉄鋼や造船業界の再編などは、その代表的なものです。
 また、近年では、中小企業の後継者問題の解決手段として盛んに利用されるようになっています。

「M&A」の社会的意義や役割

  

我が国のほとんどが、中堅・中小企業です。しかし、これらの企業は経営的にも安定し、業績の良いものや高い技術を持ったものなどが多く存在します。このような企業を廃業させることなく、また、その雇用を維持していくためにも、「M&A」の役割は大きく、そこに社会的な存在意義・役割があります。

「M&A」当事者としての心構え

  

「M&A」に際しては、アドバイザーや専門業者が仲介します。その事業者の中には、売り手側・買い手側企業の利益より、自らの利益を優先するものもいます。
 こういった事業者が原因で、「敵対的買収」、「買い叩き」、「ハゲタカ」などのネガティブなイメージが生じたのも事実です。今でも中堅・中小企業では、「M&A」に対してよいイメージを持っていない経営者も少なからずいます。
 一般的に、中堅・中小企業の「M&A」では、売り手側・買い手側双方の企業が「M&A」仲介事業者を間に入れて、何度も面談・交渉を重ねて成約に至るわけですから、「友好的なM&A」となります。
 現在、企業が抱える経営者の高齢化や後継者難といった大きな問題に対して、「M&A」が有効な解決策となり得る、という「M&A」の有効性などを M&A事業者にしっかり啓蒙してもらうことが望まれます。
 また、売手側・買手側企業の当事者が、「M&A」に際して心がけるべきこととしては、まず、双方とも「M&A」の手続きすべてをM&A事業者に丸投げするようなことはしないということです。たしかに、「M&A」の手続きは複雑で時間もかかるので、本業のほうに専念したいのもわかります。しかし、主要なプロセスには、できる限り関与するべきです。
 その上で、売手側企業では、買手側企業が買収しやすくなるように、コンプライアンスやガバナンスを確立するなどの配慮が必要です。買手側企業も、「M&A」を経営戦略上の手段として認識し、経営統合後までも視野に入れる必要があります。
 双方ができるだけ高く売ろう、安く買い叩こうなどと考えず、互いに歩み寄る姿勢が、「M&A」の成約を高め、それが「M&A」に対する認識・理解を深めるものと思います。

  

今回は、「そもそもM&Aとは何か?」といった問いに、基本に立ち返り、その定義や目的、役割といった面を中心に述べてみました。